公務員OBの業界事典

公務員OBが公務員の制度・話題や、思ったことなどを気ままに更新しているブログです。

地方公共団体の「予算」ってなに?地方公務員OBが基礎を解説!

 こんにちは、およちゃんです。
 今回は地方公共団体の公務員が業務を行う上で最も基本となる予算について、お話ししようと思います。予算は奥が深く、私も直接担当していたわけではありませんが、概要をお話しさせていただこうと思います。

 

1 予算とは

 地方公共団体は、地方自治法などの法令に基づき、各年度ごとに予算を定めなければなりません。地方自治法には、

地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。(地方自治法第2条第14項)

と定められており、経済的かつ効率的に執行することが求められています。

 当該年度の予算については、当該年度の前年度末の議会で承認されます。おおよそ予算については、前年度の夏ごろから参考見積や積算を始め、秋ごろに財政部局に概算要求を行います。その後、各部局から要求額が出そろった段階で、財政部局から各部局へヒアリングが行われ、予算査定が行われます。この査定は大変重要であり、かつ、財政部局の査定は大変厳しいものであることから、各部局が気合を入れて臨むべきものとなっています。財政部局の査定は、採用面接の圧迫面接を彷彿とさせます。

 また、年度途中にも「補正予算」が組まれることがあります。補正予算では、当初予算の編成時に予期できなかった予算の計上であったり、予算を執行した結果、不要となった予算を減額したりします。補正予算についても、議会で承認された後に執行します。

2 予算の種類

 地方公共団体の予算には、以下の種類があります。

予算は、次の各号に掲げる事項に関する定めから成るものとする。

  1. 歳入歳出予算
  2. 継続費
  3. 繰越明許費
  4. 債務負担行為
  5. 地方債
  6. 一時借入金
  7. 歳出予算の各項の経費の金額の流用

地方自治法第215条)

(1)歳入歳出予算

 一般的に「予算」と言えばこのことを言います。物品の購入のための費用や補助金や委託料など、全てこの中に含まれます。

 一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。(地方自治法第210条)

(2)継続費

 予算は原則単年度分しか計上できませんが、例外として、2か年度以上かかる事業を実施する場合、総額、期間および年度割についてあらかじめ一括した予算として議会の議決を得たものが継続費です。議会で議決されると、当該事業の全予算が有効となり、支出権限も付与されます。

 同じような種類の予算として、「債務負担行為」がありますが、それは後述します。

 普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができる。(地方自治法第212条)

(3)繰越明許費

 予算は当該年度中に執行する必要がありますが、諸々の理由により、翌年度に執行しなければならない場合は、翌年度に予算の繰り越しを行うことができます。

 歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる。(地方自治法第213条)

 繰り越した予算は、翌年度中に執行しなければなりません。

 また、繰越を全く予想していなかったものが、避けがたい事故のために、年度内に支出が終わらない場合は、「事故繰越し」という通常の繰越しとは別に制度があります。繰越明許費については、予算として定めたうえで当該予算について議会の議決が必要ですが、事故繰越しについては、予算で定めることは不要であり、予算の執行段階で地方公共団体の首長の権限として行うものであるという違いがあります。

(4)債務負担行為

 債務負担行為は、将来に渡る債務を負うことを言います。

 歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。(地方自治法第214条)

 議会の議決を必要としますが、歳出予算は含まれず、必要となった年度に予算を計上します。債務負担行為は、議会の議決を経て翌年度以降の債務の範囲(限度額)を定めるものです。支出の権限まで保障されるものではなく、各年度に予算を計上しなければならない点で継続費と大きく違います。

 継続費も実際は年度毎に歳入歳出予算を計上しますが、それはあらかじめ決められた支出の権限内で財源等を説明するものとなっています。

(5)地方債・一時借入金

 地方債および一時借入金は、地方公共団体の予算の収入にあたる項目です。

 地方債

 普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる。(地方自治法第230条第1項)

 前項の場合において、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法は、予算でこれを定めなければならない。(地方自治法第230条第2項)

 一時借入金

 普通地方公共団体の長は、歳出予算内の支出をするため、一時借入金を借り入れることができる。(地方自治法第235条の3第1項)

 前項の規定による一時借入金の借入れの最高額は、予算でこれを定めなければならない。(地方自治法第235条の3第2項)

 第一項の規定による一時借入金は、その会計年度の歳入をもつて償還しなければならない。(地方自治法第235条の3第3項)

(6)予算の流用

 年度内に支出が必要な経費が発生し、それらを予算計上していなかった場合、他の項・目などから予算を流用し、執行することができます。ただし、これは例外的な取り扱いであり、予算は原則、議会で承認されたうえで執行すべきものであるという考えから、やむを得ない事情がある場合に適用されます。

 歳出予算の経費の金額は、各款の間又は各項の間において相互にこれを流用することができない。ただし、歳出予算の各項の経費の金額は、予算の執行上必要がある場合に限り、予算の定めるところにより、これを流用することができる。(地方自治法第220条第2項)

 予算の流用と似た概念として、「予備費」というものがあります。予備費は、

 予算外の支出又は予算超過の支出に充てるため、歳入歳出予算に予備費を計上しなければならない。ただし、特別会計にあつては、予備費を計上しないことができる。(地方自治法第217条第1項)

 要するに、緊急であったり、予期せぬ重大な案件が発生した場合に、特別に使用することができる予算を計上しておきなさい、というのが予備費です。予備費は、議会で否決した案件に対して支出することはできません。

3 予算担当の実務

 各部署には予算担当がおり、課内等の予算調整を行ったり、予算執行をしていますが、予算担当は基本的に大変な事務です。時間外勤務が多く、大変そうでした。

 年度初めは、前年度の支払い関係を行ったり、最終決算金額を取りまとめたりして、財政・会計担当部署に報告しなければなりません。

 年度途中は、急遽補正予算を計上する場合は、予算の各種資料作成であったり、議会の各会派へ内容説明を行ったり、課内調整だけでなく、議会や財政部署との調整に追われることになります。

 そうこうしているうちに、夏ごろになれば、次年度の予算要求関係の資料の取りまとめが始まり、課内での調整や、財政部署等のやり取りに追われます。予算要求が終わっても、財政部署からのヒアリング対応や、予算査定で予算が削られた場合には、復活協議のために調整を行ったりします。

 次年度予算対応をしていると、いつの間にか年が明けていて、年明けの議会の補正予算提出の時期までに、ある程度決算を固めにいく作業があり、一年が終了します。

 もし、公務員生活で予算担当となった場合は、忙しい担当となる可能性があることを覚悟しておいた方がよいかもしれません。

4 予算担当がやっていたこと

 予算担当の人が言っていたのは、「用語が分からない」「詳しい説明が無い」ということでした。例えば突然、「この業務の入札公告の準備お願いね~」なんて言われても、今まで入札事務に携わったことが無い人であれば、どういう資料が必要で、どういう手続きを踏んで、どう公開したらいいのか、分からないわけです。それと同じで、予算も「行政用語」などが多く存在します。

 その人は、参考書や辞書を購入されていました。分からない単語が出てきたら辞書を引き、理解する。もちろん公費で購入できれば良いのですが、それが許されない場合は自腹購入になります。その人は、「今後も必要になるだろうから」とのことで、自腹で購入されていました。

 予算担当になれば、都道府県庁や市役所、町役場の一年の流れが理解できますし、自分で学習する能力や解決する能力、そして何より、数字に強くなれるかと思います。その点では、若いうちに予算担当を経験することは重要かもしれません。

5 さいごに

 今回は予算の基礎中の基礎を記事にしてみました。もう少し予算を深掘りできる機会があれば、パート2として、記事を公開するかもしれません。

 次回は、公務員のエリートコースについて、ご紹介できればと思います。